相談者:Vさん 50代男性・自営者
Vさんは、これまでの婚姻生活の中で、妻(40代女性・当時無職)から離婚を求められ、多額の財産、慰謝料等を請求されているとして、当職らを代理人として、離婚協議を行いました。
法律的な観点から、Vさんの財産等を整理し、妻に対し、金額提示をし、交渉を行いましたが、金額について合意に至らず、やむを得ず妻に対し、離婚調停を申し立てました。
なお、Vさんは、離婚協議を始めた頃に、妻と子どもと別居しました。
離婚調停
①婚姻費用について
まず、婚姻費用については、自営業のVさんの収入をどのように見るかが争いとなりましたが、裁判所の見解も踏まえ、概ね算定表に沿う形で合意に至りました。
②離婚について
次に、離婚については、協議の段階と同様、養育費の支払金額と終期(何歳まで支払うか)、財産分与、慰謝料等について争いとなりました。
③養育費について
養育費については、婚姻費用と同様、Vさんの収入の点が問題となり、また、子どもが20歳になるまで支払うのか、大学卒業の年まで支払うのかが問題となりました。
④財産分与について
財産分与については、当方で資料と共に主張を整理し、慰謝料については、Vさんとして何ら支払うべき事情がないとして、争いました。
和解案の提示
最終的には、双方の主張を踏まえ、裁判所から和解案の提示がありました。
養育費については、Vさんが子どもの大学進学に同意していること等を踏まえ、大学卒業までとし、財産分与についても、裁判所から金額の提案があり、また、慰謝料の支払は特に行わない、という提案がありました。
裁判所の説得もありつつ、基本的には裁判所の和解案に沿う形で、妻側と合意に至りました。
弁護士のここがポイント!
離婚や親権について争いがない場合であっても、養育費や財産分与などの金銭的な点で、合意に至らないケースも数多くあります。調停において財産関係が争いになっている場合、双方の主張を尽くした上で、裁判所から和解案の提示がある場合があります。裁判所から双方当事者に説得があり、当事者に歩み寄りがみられる場合には、本件のように調停が成立することもあります。
仮に調停が成立せず、なお離婚を求めるとすれば、訴訟を提起し、財産関係についても、一から主張していく必要があります。
当事者に全く歩み寄りが見られないケースは別として、一定程度歩み寄りがみられる場合、特に、最終的にその金額で合意してよいかどうかという点については、訴訟に移行した場合の時間的、金銭的な負担等を踏まえ、具体的に検討する必要があります。
代理人として弁護士が就いた場合には、上記のような観点も踏まえ、調停での交渉を試みていくことになります。
投稿者プロフィール
-
弁護士 仙台弁護士会所属
専門分野:離婚
経歴:仙台生まれ。仙台第一高等学校卒業後、上智大学文学部英文科に進学。卒業後、平成14年に弁護士登録。勅使河原協同法律事務所(仙台)を経て、平成24年に高橋善由記法律事務所を開業し、現在に至る。主に離婚問題の解決に従事し、相談者の抱えている問題に寄り添いながら最適な方法を提案し、新たな人生の始まりをサポートしている。
最新の投稿
- 2024.10.07お客様の声2024年9月お客様の声
- 2024.09.25お客様の声2024年8月お客様の声
- 2024.09.24お客様の声2024年7月お客様の声
- 2024.08.05お知らせ夏季休業のお知らせ